大判例

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東京地方裁判所 昭和42年(ワ)9863号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕原告の追加的請求が適法であるかどうかについて判断する。

民事訴訟法第二三二条第一項にいう請求の基礎の同一性とは単に請求原因にのみ着眼した概念ではなく、請求の地盤となる社会的事実としての紛争関係が同一であつて、そのため二つの訴が同一審理の対象とされるのを正当化する程度に、両者の事実資料に一体性、密着性がある場合を指すものと解する。本件においては、当初の請求および追加的請求の原因を拾い出した地盤となる紛争は、いずれも本件建物の所有関係、利用関係をめぐつて原被告間に生じた経済的利益について、の紛争である。しかも、その紛争の発端は、被告が原告を欺罔して、本件建物の持分権の売買契約と本件建物の収益の分配契約の合意解除をなさしめたということである。原告の主張によれば、被告は一個の欺罔行為をもつて、原告を錯誤に陥れ、同時に売買契約と合意解除をなさしめたというのであるから、結局、両請求の成否は、かかる一個の事実としての欺罔行為の存否またはこれに伴う錯誤の存否にかかつている。これによれば、両請求の事実資料はこの点において共通する理であるから、両請求は、審理の継続的一体的施行を正当化するに足りる一体性と密着性を有している。よつて原告の追加的請求は、当初の請求と請求の基礎を同一にするから、訴の追加的変更は適法である。

次に、被告は、原告の追加的請求は、二重の債務名義を求めるものであるから訴の利益を欠き不適法であると主張するが、既に原告の得ている債務名義は和解調書であり、これには既判力がない。しかも、被告は、右和解調書に記載された和解契約は合意解除されたとしてこの効力を争うのであるから、かかる場合、和解調書による強制執行は、被告の請求異議の訴により阻止されるであろうことは、当然予想される。従つて、原告は、右和解調書の外、更に債務名義を得る利益を有するから、原告の追加的請求は訴の利益がある。(岩村弘雄 原健三郎 江田五月)

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